発生工学を用いた新たな生殖技術の開発

実施研究室: 若山研究室(平成24年度より予定)

 近年のバイオテクノロジーは発展が著しく、それまでサイエンスフィクションの中でしか語られていなかった夢物語が現実のものになり始めました。その代表的な例が体細胞から核移植で作られたクローン動物です。クローン技術は優良家畜を低コストで大量に作り出すといった農業への利用だけでなく、再生医療への応用や絶滅動物を復活するための手段として期待されています。一方、卵子と精子を人為的に受精させる技術も進化し、現在では不動精子や未熟な精子細胞からでも受精させ子供を作ることが可能となってきました。この技術は人の不妊治療において最も重要な手段の1つとなっています。私たちの研究室では、マイクロマニピュレーターに新技術を導入することで、世界で初めて体細胞クローンマウスを作ることに成功しました。また、同じ技術を用いることで、フリーズドライにしたマウス精子を使って子孫を作ることにも成功しました。このように、従来不可能と言われていた状態の細胞から次世代を作ること、すなわち新たな生殖技術を開発することが私たちの研究室のテーマです。

1.クローン動物作成-絶滅動物の復活も視野に-

 クローン動物の成功率はどの動物種でも数パーセント程度と低く、それが実用化の大きな壁になっています。その原因は、体細胞核を受精卵の状態に戻す「初期化(リプログラミング)」が不完全であるためだと考えられています。私たちは初期化を促進し、クローン動物の成功率を実用化レベルまで高めること、および絶滅動物のクローンを作り出すための技術開発などを目標に日々研究を行っています。

2.フリーズドライ精子-宇宙での生殖に向けて-

 哺乳類の細胞をフリーズドライにすると、イースト菌などと異なり水に戻しても生き返ることはありません。しかし精子の場合、核さえ壊れていなければ顕微授精という技術を用いることで受精し、子供を取ることが可能でした。私たちはフリーズドライ製法のインスタントコーヒーが室温保存可能なのと同様に、フリーズドライ精子も長期間の室温保存が可能になると考えています。また、私たちがJAXA(日本航空研究開発機構)と一緒に取り組んでいる哺乳類の宇宙生殖実験の一環として、軽くて場所を取らないフリーズドライ精子が2012年にロケットで打ち上げられる予定です。

関連資料:

若山研究室ホームページ:http://www.cdb.riken.go.jp/grp/
プレスリリース:http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/081104/index.html
 

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