卒業生の活躍

小宮山 美弘氏
テクノ・サイエンスローカル事務所 代表
発酵生産学科(現生命工学科)昭和44年卒
元山梨県工業技術センター副所長

日本包装学会功労賞の受賞
   平成21年7月10日、東京大学において開催された平成21年度日本包装学会大会の総会において、功労賞を受賞した。受賞時63歳はまだ若いつもりであったので、この種の賞はいささか気恥ずかしい思いであった。受賞の理由の一つは30年以上前に食品の品質保持技術で包装食品に流通革命を起こした脱酸素剤の開発ヒントを与えた一連の実用的研究である。酸素が食品の品質を低下させることは古くから知られている。特にカビは偏性好気性菌であることから酸素を除けば生育できないことは説明するまでもない。しかし、このことを実際の現場に応用しようという試みは長い間なかった。

 神奈川県の個人の発明家がケプロンと称するハイドロサルファイトを基材とした酸素吸収剤なるものを私のところにブドウの保存技術に利用できないかと持ち込まれたのがことの発端であった。私はこれを菓子類のカビの生育防止や油菓子の酸化防止に利用できると提案し、幾つかの試験を実施した。その結果、流通菓子類への利用の課題としての改良点を挙げた。これを基に三菱瓦斯化学(株)が数年後、鉄粉を基材とした脱酸素剤を開発した。私はこの基材の市場性の試験も行った。

 さらに数年後瞬く間に日本中の菓子を中心とした包装食品に使用されるようになり、10年後には1,000億円以上の産業に成長した。日本発の世界市場に普及した品質保持剤になった。この間日本包装技術協会の優秀包装文献賞(昭和61)を受賞した他、各種の雑誌や書籍に執筆させていただき、英国の雑誌にもその研究報告が掲載された。学問と現場が如何に遠いものであったということでもあり、また、発明は必要の母という格言の証明でもある。現場を知らなければ発明はできないという証でもある出来事であった。

 受賞のもう一つの理由は日本包装学会の設立に地方の試験研究機関の研究者として唯一参画し、学会誌の編集や大会の運営に参画したことであった。現在も理事として運営に関わっている。
私は平成18年に山梨県工業技術センターを退職後、37年間育てていただいた地域食品産業に恩返しすべく、標記事務所を立ち上げ、国内外の地域食品関連産業の支援活動を行っています。今後も生涯現役を目指して地域のため貢献してまいります。

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