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国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟で約6年間、宇宙放射線に曝露された精子からマウスの作出に成功 -人類の宇宙生殖の可能性を示す-

 山梨大学大学院総合研究部発生工学研究センターの若山清香助教、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の鈴木智美研究開発員、量子科学技術研究開発機構、日本宇宙フォーラムなどからなる研究グループは、国際宇宙ステーション(ISS)を利用した生物学実験では史上最長となる5年10か月間ISSに保存したマウスのフリーズドライ精子から健康なマウスを多数作出することに成功しました。宇宙放射線に長期間被ばくした精子で受精した胚は、地上で同期間保存した精子で受精した胚に比べ、わずかに質が低下する傾向が見られましたが、次世代には影響がありませんでした。実際に被ばくした宇宙放射線量と地上でのX線照射実験の結果を合せて考えると、理論上フリーズドライ精子は国際宇宙ステーションで約200年間保存できることになります。このような知見は、今後、月近傍有人拠点ゲートウェイにおける深宇宙環境での放射線研究などに向けた活用が期待されます。本成果はScienceの姉妹紙、Science Advancesに日本時間6月12日(土)午前3時にオンライン掲載されました。

タイトル:Evaluating the long-term effect of space radiation on the reproductive normality of mammalian sperm preserved on the Space Station.

本研究のポイント
○国際宇宙ステーションでの生物学実験としては最長となる 5 年 10 ヵ月間保存したマウスのフリーズドライ精子からマウスの作出に成功
○作出されたマウスは正常であり、次世代への影響もない(孫も元気)
○地上でのX線照射実験との比較により、宇宙で200年以上保存できる可能性を示した
○月近傍有人拠点ゲートウェイにおける深宇宙環境での放射線研究にも利用が期待される

 詳細は、山梨大学HPのプレスリリース(下記)をご覧ください。