受験生の皆さんへ

藤巻 慶弘

博⼠課程に進んで
博⼠課程と聞かれて皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか︖よほど勉強が
好きだとか優秀、はたまた変わり者といったイメージを持たれているかもしれません。実
際のところ私⾃⾝は勉強が好きでも優秀でもありません。(変わり者という点は合ってい
ます)そんな私が博⼠課程に進学した理由ですが、簡単にいえばやっている研究が⾯⽩い
という理由です。
⼤学⼊学当時はただ漠然と⽣物に興味がある程度で何をやりたいということははっきり
としておらず、博⼠課程進学など考えてもいませんでした。そんなこんなで⽉⽇が経つの
は早く、研究室を決めなければならないという時期になりました。どうしようかと迷って
いるときに新しい先⽣が来るという話があり、思い切ってその研究室を選択しました。
(変わり者たる所以です)それが事の始まりでした。私が現在携わっている研究は、ナノ
テクノロジーとバイオテクノロジーの融合領域ナノバイオエンジニアリングの研究を⾏っ
ています。この分野は、⽣命分⼦の機能を超える分⼦の創⽣、実際の細胞など⽣命システ
ムにおける複雑性の解明に向けた研究が⾏われている⽐較的新しい分野です。
最初はわけもわからず、怒られてばかりの毎⽇でしたが、興味を持ち調べてみると実に
⾯⽩く、新しい知識を得ることの楽しさや浮かんでくるアイディアと向き合うという研究
の⾯⽩さに気付きました。そして、どこまでこの研究をやれるか試してみたいという理由
から博⼠課程に進学し今に⾄ります。⽇々、研究に悪戦苦闘していますが、多くの論⽂や
⼈と関わり新しい知識を得て、浮かんだアイディアを形にしていく環境というのはとても
充実しており、⾃分には合っている環境だと思っています。
参考になったかわかりませんが、意外なところから興味を持ちその道を進んでいくとい
うのも⼈⽣の醍醐味ではないでしょうか。たとえ、⾃分が望んでいない環境であったとし
てもその状況を楽しみ、そこで精いっぱい頑張るということはどんなことでも共通のこと
だと私は思います。