受験生の皆さんへ

川 良⾹

『⽣命⼯学と⾃然への畏怖』

受験勉強で鬱々とした⽇々を送っていたとき、DNAの複製について勉強し、そのシンプルで規則正しく正確なしくみに本当に効率がよいということはこういうことで、すべての⽣物を⽀えているのかと思い深く感銘を受けたのを覚えています。⼤学に⼊学し、⽣命⼯学の分野について勉強してみると、⾃然とは本当にすばらしく、畏怖の念を抱き、また⽣物の持つシステムを研究⼿法によって明らかにしていく先⼈のアイデア⼒と探求⼼と努⼒を知りました。
我々の社会は昔から実に多くの微⽣物の恩恵を受けています。そして、その背景にあるのは⾃然の⼒を応⽤した科学技術⼒です。社会における⽣物⼯学について知識を深め、研究を⾏いたいと考え、⼤学院⽣命⼯学専攻に進学しました。今は放線菌という微⽣物の研究を⼟からDNA のレベルまで多⽅⾯から⾏っています。放線菌は最も形態分化の進んだ細菌で、紫や緑、⾚、⻩桃⾊といった、きれいな⾊素をだし、その多様性と持つ⼒に驚きます。向上⼼あふれる仲間に恵まれ、様々なことに挑戦できる環境に感謝しつつ、忙しい⽇々を送っています。学部⽣の頃から⾃分の研究が社会にどのような貢献につながっていくのか考え、うまく⼈に伝えられるようになりたいと思っていたので、Do! サイエンス⼥⼦中⾼⽣のための実験教室に参加しています。まだまだ⼒不⾜ですが、実験に参加者の⽅々と話をし、興味を持って楽しんでいただいている様⼦をみると頑張って良かったと感じます。多くの⼈と知り合う機会ができ、様々な分野について知ることができました。また、アドバイスをいただき、研究をはじめとした学⽣⽣活がより充実したものになりました。
地球規模で刻⼀刻と状況が変化し、環境破壊が著しくあらゆる問題が深刻化し⼭積しています。卒業後は科学技術の持つすばらしい点と問題点のバランスを考え、⾃然と調和させ、社会でどう役⽴てていけるかを考え実⾏できる⼈になりたいと考えています。